マレーシア編 コノハムシを捕まえろ

過剰なサービス? 昆虫放浪記 -コノハムシを捕まえろ- その15

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タパーに向かう

タパーまではクアラルンプールからおよそ100キロ。

そしてアカエリトリバネアゲハが給水に訪れる「クアラウォー」という場所まで、タパーから10キロ、車で30分の距離だという。

10キロ?
歩いてやろうじゃんかよ。
僕はタパーからクアラウォーまで片道10キロ、往復20キロを歩こうと心に決めた。

しかしながら冷静に考えて
重い荷物を背負い20キロを歩くとなると最短でも6時間はかかる。
クアラルンプールを出発してタパーに到着するのが最速で昼前だと考えると、クアラウォーまで行き再びタパーに戻るのは夜。
その日のうちにクアラルンプールに戻るのは不可能なので別のホテルに泊まるしかなさそうだ。
1泊分損してしまうことになるが、交渉するのも面倒なのでそのままタパーでのホテルを予約する。

朝7時ごろにホテルを出、タパー行きのバス停へ向かった。
ここで僕はミスを犯した。
グーグル先生が教えてくれたバス停に行ったらタパー行きのは別の場所らしい。

なぬーん。

マレーシアのだいたいの遠出のバスは、空港近くのTBSバスターミナルから出発するらしい。
急いでKLセントラル駅に向かい、TBSバスターミナルの最寄駅へ向かった。
電車がなかなか来ねえ。
すでに1時間のロス。時刻は午前8時。

TBSバスターミナルに到着したのは9時近く。
チケット売り場もなかなかに混んでいる。
並んで買うしか無い。

適当なジェスチャーを交えチケットを買う。
出発は10時すぎ。タパーに到着するのは13時ごろか…




寒過ぎバス

バスは少し遅れて来た。

昨日のクアラセランゴールへ向かったバスとは打って変わり、観光バスそのもので豪華だった。

これでお値段日本円にして500円ほど。

こんなにお安く遠くへ行けてよいのでしょうか?

それにしても冷房が強い。
自分に風が当たらないようにしても寒い。
上に羽織れるセーターはホテルに置いて来てしまった。
仕方がないのでTシャツに腕を引っ込めてうずくまる。

いやー寒い。
なんか窓曇ってねぇか?
しょんべんしてぇ。

と思ってるうちにタパーに到着。



過剰なサービス

これから往復20キロ歩くのに何か腹に入れなくてはならぬ。
食わねば動けぬ。

マレーシアに上陸し、はや4日目。
現地の人と交流しながら飯を食うという行為が正直おっくうになって来た。
さ、KFCでチキンを食らうとしよう。

そこそこの混み具合。
僕の前には母1人と子供4人の親子連れが並んでいる。
混んでいるせいもあり、レジで店員同士が言い争っている。

目の前の親子連れの客が注文する番になった。
レジのすぐ後ろにチキンの大量に入ったケージが置かれている。
店員は客から注文を受けるとそのケージからチキンを取り出す。
形が気に入らなければ別の形のチキンとすぐに交換してもらえる。

この親子連れはすごかった。
チキンの交換を10回ほど繰り返していたのである。
店員はあからさまに嫌な顔をし、形の良く無いチキンを放り投げてケージに戻している。

日本であればすぐにクレーム案件だろう。(客がどんなことををしていようともね)
ここのKFCのみならず、その辺のコンビニやバーガーキングなどでもクレーム案件じゃないか?と思うことはたくさんあった。

面倒くさそうに応対する駅員。
明らかに私用の電話しながらレジ打ちするコンビニ店員。
注文してたら突如鼻歌を始めるバーガーキング店員。

彼らは笑ってしまうぐらいに潔い。
給料以上の仕事は絶対にしない。それ相応のサービスを求めるのであればチップを払えとでも言うように。

手垢にまみれた話ではあるが、
僕ら日本人は過剰なサービスに慣れきっている。
「お客様は神様です」というサービスができていないと、すぐに目くじらを立てクレームを入れる。

高級レストランだったらまだしも、そこらへんの時給のさほど高くないコンビニなどにも過剰なサービスを要求している。

そもそもチップも払わずそれ相応のサービスを要求することは傲慢なことではないか?
コンビニバイトの時給がいくらでどんな仕事をしているのか社会人ならばわかることではないか?

お客様は神様ではなく今や「死神様」に成り下がっている。
作り笑いで取り繕った社会が健全であるはずがない。
日本のネット社会を見れば一目瞭然だろう。

かと言って、決して一方的に客が悪いというわけではない。
従業員に過剰なサービスを客に対してさせようとしむける雇用主側にも問題はある。

そりゃ確かに他店との競争において品揃えなどで勝負がつかない時、何で決まるかといえば接客応対というサービスになるだろうさ。

しかしながらそういうサービスを提供するのであれば、無償でやらせるのではなくそれなりの対価を従業員に支払うべきだろう。

「やりがい」や「接客応対が身につく」だのそんな甘い言葉に乗せられてしまってはいけない。結局サービスは企業の売上増の戦略の一部にすぎないのであって、本来コストをかけて行うべきのものだ。

接客というサービスにコストをかけないのであれば、サービスなど最初から無い方が健全だろう。

どこもかしこもクレームだらけで
ネットも現実もギスギスしまくってないかい?

かく言う僕も、近所の小さなスーパーの店員の接客が適当すぎて気になることがあるんだがね。笑
もっと心に余裕を持って生きたいものだ。

つづく