台湾編 線から点へ

移住するならどこがいい? 昆虫放浪記 台湾編 〜線から点へ〜 その12

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社頂自然公園にて

懇丁の夜市でたらふく飯を食らい、さっさと眠り、再び朝を迎えた。

懇丁国家森林遊楽区のすぐ隣の社頂自然公園に向かうことにした。

本来の目的である、キシタアゲハを今日こそ撮らねばならぬ。
今日も今日とて昨日のバイク屋のおっちゃんから借りることにする。

早いところ社頂自然公園に行きたかったのであるが、あいにくまだおっちゃんがいない。
仕方がないのでホテル近くの小さな海岸公園的なところで昆虫を探す。

小さなトンボがいたようだが、一瞬見失うとあっという間にいなくなってしまうなんてことを何回も繰り返した。

そろそろおっちゃん来そうかなという時間を見計らってバイク屋へ。
おっちゃんは
「チョットマッテロ」
と日本語で言うと、またどこかへ消え、そしてドラえもん号を連れて戻って来た。

天気が良かったので、かなり気分が良かった。

社頂自然公園は懇丁国家森林遊楽区と違って無料だったので自由に出入りができる。
そして芝生の広場で遊んでいる人も多かった。

思っている以上に敷地が広く、程よくジャングルであった。




キシタアゲハは?

肝心のお目当キシタアゲハであるが、いるにはいる。
という感想しかない。

キシタアゲハの写真を載せているHPなどでは、上から降りて来てランタナの花に止まったところを撮影すれば簡単と書いてあるところが多いように思うが、僕が見たキシタアゲハは止まる気配が全くなく、見つけたと思ってカメラを構えたときにはどこかへ飛び去っているというパターンばかりであった。空振りの空振りである。

他にもツマベニチョウというシロチョウ科最大の蝶なんかも僕の頭上を飛び回っていたが、高速すぎて撮影不可能であった。

ベニモンアゲハや森の宝石であるキンカメムシの仲間(東南アジアでは珍しくない…)の撮影もできたので満足といえば満足であったが、やはり少し悔いが残る結果となってしまった。




移住するなら懇丁がいい

撮影を終え、僕は芝生広場の適当な場所に腰掛けボーっとしていた。
小さな女の子とその母親が目の前で遊んでいた。

しばらくして、その女の子が僕の方に近寄って来た。
ニコニコしながら僕をじっと見つめている。
話しかけようにも何語で話しかければ良いのかわからないので、僕はカメラを取り出しシャッターを切った。
こんな環境で子育てできたらいいだろうななんてことを思いながら。

台湾編は、ベトナムへ行く前に書き終えてしまいたかった。
一編書き終える前に別の場所へ行ってしまうと、どうしても行った当時の気持ちが薄れ本来書くべき内容と全然違ったものになってしまう。

とは言ってもどうしようもないことなので、ベトナムに行ってからの台湾の印象を書いておく。

台湾の旅はまこと快適であった。
ただ快適でありすぎた故に何かを考えるということが少なかったように思う。

考えることが少なかったのは心境の変化だと思っていたがベトナム旅を終えて、そうじゃないことがわかった。

単純に台湾が快適なのである。

英語は通じるし、日本語でもある程度通じる。漢字を使って筆談もできる。
交通網も発達しており、夜道を歩いていても危険を感じることはほとんどなかった。
快適すぎると様々なことを考えなくて済んでしまう。

旅をするのに最適な場所は考えることが多い場所で、住むのに最適な場所は考えることが少ない場所だと思う。

そういう意味では台湾は住むのに最適なのかもしれない。
しかしながら実際には台湾へ行く1ヶ月ほど前に台湾東部で大きな地震もあったし、台湾が抱えている問題はたくさんあるはずで僕は台湾のほんの少ししか見ていない。
少し見ただけではその国の本質など見えてはこないものだ。

それにしても「懇丁」という街は本当に良かった。
山も海も同時に楽しむことができ、夜は屋台でお祭り気分を毎晩味わえた。

最終日は台北で過ごしたのであるが、どうも寂しい感じがしてイマイチ満喫できなかった。
懇丁よりも圧倒的に人は多いが、なぜか寂しさを覚えた。
結局ホテルでだらだらする時間が長くなってしまっていた。
そしてブログに書くほどの内容も特に無い。

自然が間近にあるかないかというだけでこんなにも心持ちが変わってしまうことを痛感した。

時として自然は人に牙を剥くこともある。
それでも僕らは自然が無ければ生きていけないのである。

嗚呼、また懇丁の海風を感じたい。

昆虫放浪記 台湾編 〜線から点へ〜
おわり