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グラナダへ
昨日の夜、お腹いっぱいなのと塩っけがキツいということで、
パエリアを残してしまったのであるが、
お店の人に持って帰っていいか?と聞くと
パッキングまでしてくれた。
ので、朝ごはんは昨日のパエリアである。
スプーンが無かったので、手でにぎにぎして食べる。
ちょっと時間を置くと塩っけも多少気にならなくなる。多少である。
今日はグラナダへ移動する日である。
今日も今日とてRenfeで予約し、高速列車AVEに乗る。
7時過ぎの高速列車だったので、早めにホテルを出た。
昨日来た方向とは逆で、Sol駅からAtocha Renfe駅へ向かう。
まだまだ早い時間だったのか、閑散としていた。
高速列車に乗る。
直前割引のような席だったからなのか、お見合い席である。
しばらくしてから、目の前に乗客が。
うむ、くつろげぬ。
妻の方を見ると、鼻先が少し赤い。うむ。風邪っぽい。
今日も今日とて窓の外に見えるのは、あたり一面のオリーブ畑。
おじいちゃん越しに見える朝陽も美しかった。
随分と遠いところに来てしまったなぁと改めて実感する。
スペイン人の印象
3時間ほどして、グラナダに着いた。
何だか寒い。
日向に出ると少し暖かい。
日陰は寒い。
街も結構栄えている。
路面電車が走っている。
我々が後で向かうアラビアチックなアルバイシン地区と違って、高速鉄道の駅周辺はマドリードの中心街のような街並みだった。
Go pro で街を撮っていると、たまに手を振ってくれる人がいる。
数日間でスペイン人に対する印象は、行く前に思っていたものと大分変わった。
失業率が高いから何となく怠惰な人が多いのではないかと思ったりもしたのだが、それは違うのではないかという印象を抱いた。
やたらとせっかちな人が多いのだ。
地下鉄のドアは基本的にレバーを引かないと扉が開かないのだが、電車が目的の駅に到着して停車する1分前ぐらいからドアの前に群がりレバーに手をかけ始めてガチャガチャしだす。
そして何より日本と同じように電車が時間通りに来る。
かと言ってギスギスしているわけでもなく、店員のお兄ちゃんのコミカルで陽気な感じや、モンセラットから帰ってきた時の駅員さんの優しさだったり、力の抜け加減が心地よく思うのだ。
とは言えスペインに数日間しか滞在していないので、人々の抱えるものなど深い所まではわからない。
「外国で暮らしている人」を理解するのは生まれ変わらない限り不可能かもしれないなとは思う。
そもそも目の前にいる妻を理解しているんだろうかということでもある(理解しようとはしているよ)。
わかった気になるな、ということ
『深夜特急』の著者・沢木耕太郎の本を読んでいると結構な頻度で
少し旅をしたからといって色々とわかった気になる若者をたしなめるようなことを書いていることが多いのに気が付く。
少し前までは正直沢木さんもつまらないことを書きますなぁ、なんて思いながら読んでいたものだが、今となってはこの「わかった気になる」という考えが傲慢な考えのようにも思うのだ。
妻と暮らしてから色々と気づかされることが多い。
この「わかった気になる」という考えは、とある物事に対して「わかりきったこと」つまり「もうこれ以上知る必要もない」という考えに繋がる。
これが物事ではなく人に対してだとどうなるだろうか。
「わかった気になる」は相手のことを決めつけて、理解しようとしないことになるだろう。
他人のことをわからないからこそ、理解しようとし続ける「思いやり」が芽生えるのではないか。
ってな感じのことを僕はわかった気になっているのであるよ。
つづく
深夜特急1-香港・マカオ- (新潮文庫)