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ネタばれたっぷりなので観終わってからご覧ください。
『マッドマックス 怒りのデスロード』の前日譚にあたる『マッドマックス フュリオサ』を観てきた。
『怒りのデスロード』はここ10年で僕が一番観た映画だと言っても過言ではない。暇さえあれば流し見をするぐらい観ている。物語のスピード感とかスタントとかどれをとっても素晴らしい。ストーリーもシンプルで、砦を出て砦に戻るだけの映画だけれども何故か面白いしモブを含めた登場人物全員大好き。
そんな映画の前日譚とあれば観に行かずにはいられないでしょうが。
鑑賞後にそんな期待は見事に裏切られてしまったのであった。
僕は『怒りのデスロード』を観た時のようにスカッとしたかった。
でもスカッとできなかった。
なんかネッチョリしていた。時間を置いて少しベタついた炭酸飲料のようだった。
『怒りのデスロード』に向けて色々と準備をする話だからスカッとできないのは仕方ないとは最初からわかっていたが、それにしてもさぁ、という気分だ。
そもそもの話としてフュリオサのビジュアルが公開されたときから違和感があったのは『怒りのデスロード』でフュリオサを演じたシャーリーズセロンと、今回のフュリオサを演じたアニャ・テイラー=ジョイの系統が少し違うことだった。
例えて言うならば『だが情熱はある』で南海キャンディーズのしずちゃんを富田望生が演じたぐらいの違和感だ。
演技には文句ないんだけど、ちょっと違いやしないかい?という感じだ。
アニャの演技はとても良かった。眼光の鋭さはまさにシャーリーズセロンだなぁと。しかしずっと付きまとう系統が違いすぎやしないかい?という違和感。
設定は何歳ごろにしていたのだろうか。文明が崩壊した世界なので西暦の概念も無く何年たったかなどが全然わからないので、『怒りのデスロード』の何年前の話なのかがちょっとわからないままこの映画は終わってしまう。
映画のラストシーンには『怒りのデスロード』に繋がるシーンも出てくるのだが、違和感バリバリなわけで。一応フュリオサはシルエットのように映っていたけれども。ターミネーター2の冒頭のリンダハミルトンのように、少し筋トレする場面などあればもう少し説得力出たんだろうけどなぁ。
あれ?イモータンとの闘いではなかったか?
『怒りのデスロード』でイモータン・ジョーはフュリオサに「リメンバーミー?」というセリフとともにやっつけられるのであるが、『フュリオサ』を観終わった後、『怒りのデスロード』での「リメンバーミー?」が完全に宙に浮いてしまっていることに気がついた。
あれなんじゃったん?
そう、フュリオサが憎しみを抱いていた相手はイモータンではなかったのだ。
フュリオサをさらい母を殺し恋人を殺したディメンタスという男に恨みを抱いていたのだ。
?
いや、僕らは憎しみの相手であるイモータン・ジョーの下で大将軍にまで上り詰めたフュリオサの苦悩を観たかったわけで。『ディパーテッド』みたいな敵陣に乗り込んで潜入し続ける物語を期待していた。
ディメンタスのせいで完全にイモータンの存在が薄まっちゃってるのよ。
今作でイモータンがフュリオサにしたことといえば、ディメンタスから幼少期のフュリオサを買い取って自分の妻にしようとしたぐらいで、まんまと逃げられてるし、その後フュリオサを探そうともしてないし、気づきもしないまま映画が終わってしまうし。なんならイモータンの砦でフュリオサはその辺の人よりいい生活できてる感じも出てる。
「リメンバーミー?」と言うほど憎しみがあったのか?という疑問が残った。
というかむしろイモータン逆にそんなに悪くなかったんじゃない?とまで思えてしまう。少なくともイモータンの砦にいる人々がギリギリ生きて行けるぐらいのことはずっとやっていたわけで、略奪するわけでもなく自分たちで作物を育て何とか命を繋ごうと必死なおじさんにしか見えなくなってしまった。
イモータンがいかに極悪非道だったのかを観たかったんだけどなぁ。
そうだ。マルチバースでの出来事だったということにしよう。ディメンタスは別の宇宙のソーだったんだ。
まあギター男がちょっと出てきたのはうれしかったけれども。