正直なところ観る前までは「エイリアンだしな・・・。1と2はいいんだけど、他のは・・・」という気持ちであまり期待はしていなかったのだが、かなり良い意味で裏切られた。ここ数年映画館で観た映画の中で一番おもしろかったんじゃないの?と思うぐらいでああった。(基本映画館で観たのはMCUが多かったけれど)
今回の『エイリアン ロムルス』は第1作目『エイリアン』と『エイリアン2』のあいだの時代の話であるのだが、そういった予備知識が全くなくても問題なく十分楽しむことができると思う。舞台設定で1の時の話が少し出てくるだけで物語には影響しないので。(ここ最近の傾向としてシリーズものなのに単独で楽しめるのはあまり少ないように思う)
何も観てない方が「ええ、こいつらなんなの!?」みたいな感じで楽しめる気がする。というか1と2を観た記憶を消し去って『ロムルス』を観たいぐらいだ。
ちょっと音でいきなりびっくりさせるジャンプスケアが気になるかなとも思ったけれど、それを吹き飛ばすぐらいには面白かった。終始「ひえ〜」と言いたくなった映画は久しぶりだったので、気になる人は観て欲しい。うむ。本当に面白かった。
以下ネタバレを含んだレビューです。
リドリースコットの『エイリアン』、ジェームズキャメロンの『エイリアン2』に匹敵するぐらい面白かったと思う。
エイリアンシリーズはデビットフィンチャーの『エイリアン3』からよくわからない方向に進んでいってしまったので、そのイメージが払拭されるような作品が登場して嬉しい。いや〜本当に。
展開もモリモリで、あらゆるパニック要素全部つめつめで息をつく暇もないぐらいに話が進む進む。『マッドマックス 怒りのデスロード』を観ているぐらいの気分だった。(『デスロード』の爽快感とは違うベクトルの方向だけども)
場面が切り替わるごとに、あれ?これってどうなってたんだっけ?という伏線も丁度いいタイミングで回収されて、教科書のお手本のような伏線の張り方と回収をする。
伏線以外にも、宇宙船内は背景が似たようなのが多いので誰がどこにいるか一瞬わからなくなるんだけども、すぐに引きのカットが出てくるので位置関係が結構わかりやすい。
誰が何をしているのかわからなくなる某ノーラン先生の映画とは大違いだ。
クリーチャーたちのチラ見せも絶妙で、うわ何か一瞬いたな・・・、うわ!来た!みたいな感じになるのがとても楽しかった。最後のアイツの登場の仕方なんかは最高だ。
描写が結構ハードなのでグロが苦手な人は少し注意した方がいいかもしれない。
身籠った女性にも容赦ない描写をするので「ひぇ・・・」となるので。
流石にこの人は生き残るんだろうなと思っていたら一番酷い目に遭うとは・・・。
コンプラとかエイリアンには関係が無いのだ。
個人的に少し面白いと感じた部分は、時代の移り変わりによってすっかり未来の描写が変わってしまった部分だ。
『エイリアン』に登場したレトロチックなコンピューターが劇中で沢山出てくるのだが、『エイリアン』公開時(1979年)では最先端のイメージだったはず。今となっては古臭い最先端のイメージになってしまったが逆に荒廃した未来感が出ており、なるほどなぁと唸ってしまった。
とにかく色々と面白かった。
最近のシリーズ物はとにかく他の作品観てないと何もわからんみたいなのが多かったので、『エイリアン ロムルス』は非常に良かった。