マレーシア編 コノハムシを捕まえろ

デンジャラスゾーン 昆虫放浪記 -コノハムシを捕まえろ- その13

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クアラセランゴール

バスに揺られること2時間あまり。
少々飛ばしすぎなんじゃねぇの?ってぐらい飛ばすバス。バス。

目的地に近づくにつれ、風景がヤシの木々へと移ろいゆく。
太陽に照らし出された果てしなく続きそうなヤシのプランテーションには思わず鳥肌が立った。(心のシャッターを切りました)

クアラセランゴールは観光地というだけあって、そこそこ賑わいのある街だった。

ちょうど昼すぎだった。
お腹が空いたので店を探す。
店じまいしようとしてるマレー料理屋に入ってナシゴレン食いたいんだがと言ったら
ムッとした表情で、今は無理みたいに言われたのでしぶしぶカレー屋へ行く。

セルフサービスで店のシステムがよくわからずワタワタしていると、店のおっちゃんがどれがいいか?みたいに聞いてくれて盛り付けもやってくれた。

うまし。

お腹も満たしたので、マングローブへ向かうことにする。
少々距離はあったが、えっちらおっちら歩いた。



デンジャラスゾーン

その1

日本の公園によくある、屋根付きのベンチに男が二人座っていた。
一人の男は腕にゴムチューブを巻き、もう一人の男は注射器らしきものを持っている。

・・・?

映画の見過ぎなのかもしれないが、その二人の挙動はおかしく、周りの様子を伺っているようでもあった。

何を思ったか、僕はとっさに彼らにカメラを向けてしまった。画像左端に注目。

撮り終わった瞬間、事の重大さに気がついた。
明らかに二人が僕の方をずっと見ているのだ。
いま逃げたら絶対追いかけてくると思い、ここは何も知らないただの観光客を装って適当なところにカメラを向けて写真撮ってるふりをしながらそのまま歩き続けた。

こんなところで海の藻屑にされてたまるか、なんて考えつつ。
そもそもこんなとこでクスリやる奴なんているか?とも思いつつ。
マレーシアは麻薬の取締に厳しく、最悪死刑の場合もあるようで。

その2

野良の猿が現れた。
物欲しげにこちらを見ている。
僕は静かに立ち去った。



その3

カブに乗ったおっさんが近づいてきた。
「やあ」
「どうも」
「よろしく」
「あ、よろしく」
「俺と君は友達だ」
「あ、はぃ。僕は日本人です」
「やあ、そうかいそうかい。ところでだ、俺お金持ってなくておまけにガソリンが切れそうで家まで帰れんのや」
「ああ、そうですか」
「だから5リンギットくれんかね?」
何言ってんだこいつと思いつつ、まぁこの人も困ってんだろうなってことで5リンギットを渡す。
「にいちゃんありがとよ」
おっさんは去って行った。

若い子にタカるおっさんにはなるまいと心に誓った。

つづく