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嵐は近し。
時は13時過ぎ。
店でちんたらフライドチキンを食ってる暇などない。
クアラウォーに行って帰ったら夜になってしまうのだ。
僕は食いながら歩いた。
リュックを背負いカメラを提げ、左手にはチキン右手にはコーラという背格好で歩道のない道路を突き進む。
道端に野犬の死骸。
自分が向かう方向には分厚い雲。
いいね。いい人生だよ。
歩けよ乙男
進めば進むほどジャングルが深くなってゆく気がした。
分厚い雲で周囲も次第に暗くなる。
こんな道を夜も歩けるんだろうか?
僕は道端で死んでしまうんじゃないだろうか?
日本の森が恋しくなってきてしまった。
残りおよそ5キロ地点まで来た。
雷の音が徐々に近づいている。
これ以上進んでも意味がないのでは?
もう少しだけ歩いて雨が降り始めたら引き返すことにしようと思った矢先、
勢いよく雨が降り始めた。
急いでリュックからカッパと折りたたみ傘を取り出す。
横殴りの雨だったので、傘は役に立たなかった。
僕は来た道を引き返すことにした。
ここまで降んのかよってぐらいの勢いで雨が降るものだから
少し笑いが込み上げてくる。
空気も綺麗だからきっと雨水も綺麗なんだろうと思い、口の中に直接入れてみたりなんかもする。
雨宿りできそうな場所を見つけたので、雨が止むのを待つことにした。
今は激しく降っていても、しばらくすれば再び晴れてくるだろう。
雨を眺めながら自分の人生やらなんやらを少し考えた。
もともと自主制作映画というのをやりたくて上京し、一応1本を映画として完成させたのであるが、映画祭などで賞を獲ったりするわけでもなかった。自分たちで上映会をやりたいとは思っていたが、出演してくださった人との事情もあって完全なお蔵入りとなってしまった。
他にも映画作りをしようと思い色んな人と撮影やらなんやらをしていたわけであるが、人間関係のトラブルで頓挫したりイマイチやる気が起こらず、そのまま連絡を断つなんてこともやってしまっていた。(ごめんなさいね)
本当に何もかもが上手くいっていなかったと思う。
色んな人に裏切られたし、その分僕も人を裏切った。
コノハムシを探すなんてのは建前に過ぎず、変わるかどうかはわからないが、どうにもならない現状をどこかに行けば変えられるだろうと思いマレーシアに行った、というのが本当のところだ。
僕は雨の中にいるんだろう。
今はじっと堪えるしかないのだ。
しばらくして、雨は止んだ。
僕は荷物を背負い再び歩き始めた。
先ほどの野犬の死骸。
こうして生命は循環していくのだろう。
とある民家では床下浸水に見舞われたようで、住人たちがその家の様子をじっと見ていた。
大変そうだねという顔を僕がその人たちに向けると、
よくあることだよという素振りで笑い返した。
つづく