マレーシア編 コノハムシを捕まえろ

言語の壁を越えて 昆虫放浪記 -コノハムシを捕まえろ- その17

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ちょっとリッチに

タパーの街に再び戻ったのは4時過ぎ。

街へあと2キロほどのところでバイクに乗ったオッさんが後ろ乗ってくか?
と話しかけてきたがクアラセランゴールでカツアゲされたのもあって

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「わいは歩くのが好きなんや」と言って断る。

もうちょい遠くだったらちょっとお金払って乗っても良かったのだが。

靴はずぶ濡れ、足は傷まみれという状態でAgodaで予約したホテルに泊まる。
クアラルンプールでのホテルとは違って、テレビもwifiもトイレットペッパーも付いているホテルだ。

1泊1600円ほど。まあたまには良いだろう。

トイレットペーパーがシートベルトのポジションではあるのだが。




フロントにて

部屋で明日の予定を考える。
朝早くホテルを出てクアラウォーまで往復20キロを歩くか、
思い切ってタクシーをチャーターしクアラウォーに行った後そこからもう少しだけ先に進んで激アツ昆虫スポットである19マイルという場所にも行ってしまうか。

金銭的に余裕はある。
体力的に余裕がない。

フロントに行き、タクシーをチャーターする旨を伝える。
さわやかな兄ちゃんが応対してくれた。

お互いに間違った情報を伝え合いたくはなかったので、英語で筆談をする。

筆談してもちょっとお互いに何言ってるのかわからない状態が続いたので、それを見かねたのか、横にいたおじさんが日本語で僕に話しかけてきた。

「どこに行きたいんですか?」
「あ、クアラウォーです」
おじさんのおかげで助かった。

フロントの兄ちゃんとやり取りを代わりにやってくれた。
ホテルからクアラウォーまで30リンギット、
ホテルから19マイルまで60リンギットとのこと。

ちなみにタクシーは行きだけで帰りは知らないよ、とのこと。
もうちょっと払って何時間かチャーターするという手もある

金銭的に余裕はあるが60リンギット出してしまうと色々困るなと思い、19マイルは諦めクアラウォーにタクシーで行ってあとは歩くことに決めた。
そう伝えるとその場にいた全員にお前大丈夫かよみたいな顔をされた。

日本語の話せるおじさんが言うには
昨日スコールのせいで10代の子が溺れて亡くなったんだとか。

僕もそのような運命を辿る可能性は少なからずともあったのだ。
「まあ大丈夫ですよ。さっきも歩いてきたので」

そう答えたものの川の水が道路まであふれていたのを見てきたばかりだったため、僕は少し冷や汗をかいていた。




意思疎通が図れるということ

何日間か日本語に触れていなかったので、日本語の話せるおじさんにあったときは妙に感動してしまった。
意思疎通が図れるということに。

今の職場には外国人が何人かいて日本語でやりとりをするわけだが、皆日本語が本当に上手で普通に冗談を飛ばし合ったりしている。
そんな彼らが突然母国語で話し合う様子を目の当たりにするといつも不思議な気分になる。

なんだか置いてきぼりにされたような、壁ができてしまったような。
(あとで何を話していたのか聞いてみると天気の話とかだったりするが)

複雑な気持ちを抱く一方で、格好良いという気持ちも抱く。

母国語はもちろん、それ以外の言語でも冗談を飛ばせることが単純に凄いからだ。
彼らは当たり前のように日本語を話しているが、その習得過程には僕の想像をはるかに越えた並々ならぬ努力があったのだろう。

意思疎通を図れることってのは、本来当たり前のようで当たり前でない。
僕たち日本人は日本語以外に触れる機会が極端に少ない。

それ故に意思疎通が図れないという状況に陥ることがあまり無く、意思疎通を図ることは当たり前だという前提を基にして「空気を読む」だの「協調性云々」といった、言わなくてもわかるよね?みたいなコミュニケーションが行われる。
(あとは日本語の特徴として婉曲表現が豊富すぎるのも問題だろう。多分)

本来は言わなきゃわからんのである。

よく男性が女性に言われることとしては、「ちゃんと言葉で言って欲しいよね」
ってことだったりする。

ちゃんと伝えるべきこと伝えてますか?

つづく