プロローグ
新婚旅行である。
どこへ行こうかという話し合いになった。
個人的にはジャングル的なところへ行きたかったのであるが、流石に新婚旅行でそれは無いだろということで、どこかまったりと楽しめるところにしようかという流れになった。
候補として上がっていたのはタイだったのだが、せっかくの新婚旅行なんだからもう少し遠いところでいいんじゃない?
ということでヨーロッパが有力候補となった。
個人的にヨーロッパといえばイタリアというイメージと、ジョジョの奇妙な冒険の第5部の舞台がイタリアだったので、イタリア行ってみたいなと言ったわけであるが、妻はイタリアに行ったことがあるようで却下される。
妻は小学生のころ一時期スイスに家族で住んでいたことがあり、ヨーロッパ諸国にもちょいちょい出かけることもあったという。
そんな中で、妻にはとある国に因縁があった。
スペインである。
家族旅行でスペインへ行くことになったのだが、スイスから出国する道中、妻のお父さんのパスポートがスラれてしまい、スペインへの旅行は中止となったらしい。(スイスはEUではないからパスポート要るのね)
「え、スペイン行かないの?」
と言い放った幼い頃の妻の顔が忘れられないと、お義父さんは言う。
「あたい、スペイン、リベンジしたい」
と言うので、じゃあスペイン行こかとなり、スペイン行きのチケットを買った。
季節的に10月頃のバルセロナがオススメとガイドブックやら何やらに書いてあったので、10月半ばのチケットを探す。
直行便はちょいと高いかなというところだったので、トランジットありのチケットを買った。
行きは香港経由、帰りはパリ経由。
このときに香港経由便を選んだのは幸運であったと今は思う。
どこへ行こうか
スペインのどこへ行くのかは、旅行2~3週間前ぐらいになってようやく決まった。
最初はバルセロナ行ってイビサ島にでも行こうかとなっていたが、せっかくならマドリードも見たりしたいねということで、バルセロナとマドリードへ行くことになった。
しかしながら、2都市だけだと物足りないんじゃないのか?めったにヨーロッパなんていけないんだから行ける所へ行った方がいいんじゃないのか?
ということで、マドリードの南方にあるグラナダも行くことにしたのである。
この決断が新婚旅行を過酷な旅へと変貌させてしまったのである。
つづく