2019年台風19号で被害に遭われた方々のいち早い復興を心よりお祈りしております。
前回の記事はこちら
台風が来よった
スペイン行きの飛行機へ乗る数日前、台風が日本列島に直撃することが予想されていた。
よりによって羽田から飛行機が出る日に関東上陸だという。
運休になる可能性があった。
スペインの滞在するホテルは既に予約していたので、キャンセルしなければいけなくなりそうであった。
スペイン国内での移動に使う高速鉄道の予約はスペインへ行く直前にでもしようかと思っていたが、日程が変わる可能性が出てきたので鉄道に乗る前日に予約することにした。
とりあえず空港へは向かう
出発当日になった。
午後に台風関東上陸は確実で、羽田空港へ向かう電車も午後は運休となった。
ほとんどの航空会社が運休を発表していたが、我々の乗るキャセイパシフィック航空のホームページで運行情報を確認するものの運休という文字は見当たらなかった。
飛ばない可能性は大だが、もしかしたら飛ぶかもしれない。
もし飛ばなかった場合は空港のどこかに泊まってスケジュールも全部ずらせばいいか、ということで空港へ向かうことにした。(家で待機し次の日の飛行機にするという選択肢は我々には無い)
飛行機の時間は16時半頃だったのだが、9時前には家を出発した。
その時間帯はまだ雨が少し強いぐらいの程度ではあったが外出している人も少ないようで、電車はガラガラだった。
終末が来たとするならば、こんな様相なんだろうかなんてことを思いながら空港へ向かう。
到着したのは10時ごろ。
空港内はいつもよりかなり人が少なかった。
空港の飲食店もほぼ全て閉店状態だった。
やっていたのは吉野家ぐらいだったので牛丼を食らう。
チェックインの時間までまだまだある。
これといってすることもなく体力をあまり消費したくはなかったので、どこか座れる場所を探したのであるが、飛行機が欠航になってしまい路頭に迷った人々でそこらじゅうの椅子が埋め尽くされていたのだった。
チェックインの時間が1時間ほど早まった。
チェックインしたは良いが、もしかしたら飛行機が出発直前になって飛ばないなんてことになるかもしれませんよと念を押された。
なかなか気は抜けないなと思いつつ、出国手続きを終えて免税店をうろうろしていると
電動カートに乗らないか?と空港のおじさんに声をかけられた。
ゲートまで近すぎたので断った。
客があまりにも少なくて暇だったそうな。
ゲート周辺には人が全然いなかった。
窓の外を見ると土砂降りの雨。
本当に飛行機は飛ぶのだろうか?と心配する僕と、いや飛ぶでしょ?と妻。
飛ぶのか?飛行機
飛行機へ乗り込んでくれというアナウンスが流れた。
予定よりも1時間ほど早い。
乗ったは良いものの、まだ飛ぶかはわからない。
席に座り、シートベルトを着用し待機。
風が少し止み始めた頃、飛行機は動き出した。
飛行機がなかなか動き出さなかったのは、きっと風を読んでいたからだろう。
飛ぶのは結構なことだが、風に煽られてなんかして飛行機が墜落したらどうしようなんてことを考えている僕の隣りで、のほほんとした顔で外を眺める妻。
前の席に座っている中国人の子供はあぐらをかいて映画を観ている。
うむ。僕は心配性だ。
揺れたことは揺れたが無事に飛行機は台風圏内を抜け、スペインへの経由地である香港へと旅立っていった。
あとでわかったことであるが我々の乗った飛行機は、その日台風の最中唯一羽田から飛んだ飛行機で、SNSで少し話題になっていたそうな。
新婚旅行で半年以上前に予約した飛行機の日程に台風がぶち当たり、それでも我々の乗る飛行機だけが飛び立ったというのは、今後の我々の行く末を暗示しているような気がしてならないようなしないようなそうでもないような。
つづく