妻観察記

コオロギせんべいを食べてみた話

ある日、妻氏と買い物をし会計を待っているとレジ横に
コオロギせんべいなる物が売られているのを発見した。

昆虫食に興味はあるのだが、やはりそこら辺の昆虫を掻っ攫って食う、
というのはなかなかハードルが高かった。

ネット通販とかで買って食べてみようとかは考えていたが、
ズルズルとズレこんではや数年。

「その時」は思いもよらぬ形でやってきたのである。

レジ横にコオロギせんべいは置いてあったので、グズグズしていると買い時を逃す。
僕が目配せをすると、妻氏は黙って頷いた。
(買い物客に考える隙を与えないレジ横にコオロギせんべいを設置した店員さんは天才だ)

パッケージには可愛らしいコオロギの絵。

中身だけ出してお皿に盛ってあればただのせんべいと何ら変わりはない。

味はというと海老せんべいとほぼ同じというか完全に海老せんだ。
結構美味い。

海老せんべいといえば薄ピンク色で海老丸々一尾が一枚のせんべいに封印されているが、見た目だけでも結構食欲をそそるものだ。考えるだけで唾液が出てくる。

一方で、コオロギせんべいにもし丸々一匹封印されていたとしたらそれは食欲をそそるのだろうか?
なんか黒いし、脚あるし…と思うことだろう。

僕は海老自体を食べたら美味しい物だと認識しているから
海老そのものを見たら美味しそうだと感じるしグロテスクに思ったことは無い。
ただ世の中には海老の手足がグロくて食べられないという人もいる。

そう考えるとコオロギを食べることに抵抗が無くなれば僕もきっとその辺にいるコオロギを美味そうだと思うようになる日が来るかもしれない。

実際に小さい頃にイナゴの佃煮を食べたことがあるので、イナゴに対しては食い物だと認識している部分がどこかにある。

一度食って美味しいと感じた生き物を食い物と認識するっちゅうのは
なんだか残酷な表現であるなぁ。

妻氏と一緒に半分ほどコオロギせんべいを食べ進んで、残りは明日また楽しもうねと言って残しておいたら、僕が見ぬ間に全部無くなっていたという。