ベトナム編 深夜特急に乗って

カモになってみよう 昆虫放浪記 ベトナム編 -深夜特急に乗って- その5

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時刻は午前5時過ぎ。
列車の中でようやくうとうとし始めたところ、乗務員の鳴らすベルの音で起こされた。
ラオカイに到着したらしい。

同室のおっちゃんのいびきのおかげであまり眠れなかったので、少し頭がぼんやりする。

サパまで行く乗合バスはどこにあるのか、しばらくラオカイ駅周辺をうろうろとしていた。

時刻表らしいものをボーッと眺めていると、
「サパ?」
と後ろから声をかけられた。

振り返ってみると、民族衣装を着た女性が立っていた。
「サパまで行きたい」と英語で答えると、私もサパへ行くところだから付いてきてと言うので、言われるがまま付いていくと乗合バスに乗せられた。
空港からハノイまでの乗合バスと同じぐらいの大きさであった。

運転手との支払いのやり取りなどもその女性がやってくれて、非常に助かった。

午前6時、バスは出発した。
今眠らなければ今日1日を無駄にしてしまうと思い、眠ろうとするもバスの揺れでどうしても目が覚めてしまった。

道中、花をバケツにいれて運んでる人や様々な荷物を持っている人が乗り込んできた。
窓の外に目をやると、見渡す限りの木々の合間に雲が広がっていた。

それは「秘境」そのものだった。

あえてカモにされてみる

サパに到着した。時刻は8時過ぎ。
バスの窓から見たような秘境感は全く無く、観光地そのものだった。

想像していた以上に都会であった。

バスを降りてからホテルへ向かおうとすると、バスまで案内してくれた民族衣装を着ていた女性が、
「ホテルの場所はわかる?」と聞いてきた。

「大丈夫だぁ」と答えると、
「あらそう。じゃあ、もしよかったらサパの村を案内しようか?」と言う。

一人でうろうろしたいものだなと少し考えたが、せっかくだし何か面白いものでも見つかるかもしれないと思い、案内してもらうことに決めた。

「9時前にホテル前に迎えにくるから、チェックインして荷物部屋に置いてくるといいよ」
と言われた。しかし、こんなに早い時間からホテルチェックインしていいのだろうかと思ったのであるが、重い荷物を持ってうろうろするわけにもいかないのでホテルへ行き、荷物だけでも置いてもらおうと考えた。

ホテルの入り口へ行くと、中学生ぐらいの女の子2人がソファでくつろいでいる。

明らかに近所の子供だろうなと思い、しばらくBooking.com の予約画面見たり、入り口あたりをうろうろしていると、女の子のうちの一人がスマホで電話をし始めたあと、僕にスマホを手渡してきた。



ホテルの管理人が電話越しにベトナム語で何か言っているがわからないので、
「そーりー、あいあむじゃぱにーず」と僕が言うと管理人は全てを理解してくれた。

女の子が案内してくれた部屋はベランダ付きの明るい、大きなベッドがある部屋だった。
予約した部屋は窓が無くてベッドも小さい部屋だったような気がするが、まあチェックアウトするときにお金多めに取られても別にいいか、と思いそのままにする。

朝ご飯がまだだったのでホテル周辺の小さな商店でカップ麺を買い、部屋で食う。
東南アジアで売られているカップ麺には大体スプーンが付属しているからありがたいものである。割り箸いらず。

これだけで動けるのだろうか?という疑念を抱きつつ、時間が来たのでホテルの外で先の女性を待つ。

すると一組のカップルと共にその人は現れた。
僕の他にもカモがいたのである。

つづく