マレーシア編 コノハムシを捕まえろ

森林研究所までナンまいる? 昆虫放浪記 -コノハムシを捕まえろ- その9

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ケポンをぶらり

誤算である。

森林研究所へはケポンセントラル駅の方が近かった。
しかし僕は何故かケポンセントラル駅一歩手前のケポン駅で降りてしまった。
歩いたほうが早いとでも思ったのだろうか。

とはいえ旅に出たら、まっすぐ目的地へ向かうよりも寄り道をする方が楽しいものである。

早速出くわした。

タテハモドキという蝶であるが、九州あたりでも見られるらしく広く分布している。
(多摩動物公園に行けばいっぱいいるぞ)
天然物は初めてだったので嬉しい。

黄色いやつがいっぱい。

カメレオンみたいなトカゲ。

ケポンの街を歩いていてわかったことだが、
マレーシアは思ってる以上に裕福だ。
そこらへんを歩く人の多くがスマートフォンをいじり、東南アジアといえばバイクだろ?っていうイメージを壊すぐらいバイク乗りが少なく車の方が多い。
タパーという町を歩いた時(滞在5日目)にも、ここは電気通ってんのか?っていう村ですら立派な車が点在していた。

多分結構裕福な住宅街。
でももしかしたらこれが中流階級なのかもしれない。

森林研究所まで何マイル?

道というものは途切れることが無い限り、どこまでも歩けるものである。
途切れることがなければね。

ここはまだ歩道が存在した。
歩道は続くものだろうとタカをくくっていた。

歩道が無くなった。
僕は車道を歩かねばならなかった。

ゴミいっぱい落ちてる…
排水溝の蓋、壊れてる…
歩きにくいぜ…
うぉーい、清掃屋と土建屋がんばってくれぇい

車道を歩き続けたので、腹が減った。
飯屋を探そう。

ナンにありつけていなかったので、ナンを食う。今日こそ絶対にナン。
写真中央のインドカレー屋に入った。

緑の服を着た兄ちゃんが出迎えてくれた。
まったく何を話しているのか理解ができない。
僕が「メニュー、メニュー」というと
?みたいな顔をする。
うーん、うーん、と僕がうなっていると周りの客も変な目で僕を見る。

どうしようもないので、外の看板にある料理の写真をスマホで撮影し見せる。
「あい、うぉんと、とぅ、いーと、でぃす」
緑の兄ちゃんは何か思いついたように奥へ引っ込んでいく。

すると赤い服を着た兄ちゃんが出てきた。
スマホの写真を見せながらこの兄ちゃんにもう一度同じことを言った。
「おうお前、これ食いたいんか?」
「いぇすいぇす」
「適当なところに座ってくれや」
赤の兄ちゃんは英語が話せた。

僕は店の奥のテーブルに座り、マリオブラザーズの様子を観察していた。

ルイージが僕の方をちらちら見ながらマリオに何か話している。
マリオが僕に話しかける。
「これ辛いけど大丈夫かぁ?」
「うん(多分)」
ルイージは何故かニヤニヤしていた。

「ナンにこれ入れるか?」
「ナンなんだそれは?」
マリオが僕に謎の物体を見せてきた。
「岩塩?」
「砂糖や」
「砂糖か。要らぬ。」

「ナンは切るか?ちぎって食うか?」
「切ってくれい」

こんな感じの会話をしていたらナンとカレーが出てきた。

ルイージがマリオに何か必死に訴えている。
「お前それだけじゃ絶対辛いから何か飲みなさいよ」
と、マリオ。
「そんじゃぁ、ミロくださいな」

カレーはそこそこ辛かったが、うまかった。
ルイージの方に目をやるとまたニヤついていた。

うむ。結構おなかいっぱい。
お値段ざっと200円ほど。
安いなぁ。

「お前、どっから来たんや」
「日本や」
「何しに来たんや」
「写真を撮りに来たんや」
「またマレーシア来たら、ここに来てくれよ」
「ああ!もちろん!」

僕は再び森林研究所へと歩き始めた。

つづく